北海道の注文住宅着工数が2割減
2月18日に札幌市内で行われた「住宅政策講演会」で、国土交通省住宅局長さんのお話を聞いてきました。テーマは「最近の住宅行政と空き家問題の状況について」ですが、その中で驚きの数字がありました。
2022年の北海道の持家(注文住宅)着工戸数が、前年比でマイナス19.9%になっていて、全国の前年同月比と比較すると、特に2022年前半における減少幅が大きかったとのことです。
その要因について、関係各所へのヒアリングの結果として以下の理由が挙げられています。
全国の他地域と比較して世帯年収が低く留まる一方、大規模プロジェクトの影響で建築コストおよび札幌近郊の地価が急騰したことや、暖房での電力消費比率が大きい中、電気料金の大幅値上げや観光産業の不振など、インフレやコロナによる消費マインドへの影響が考えられるとのことです。
2022年の地価公示による全国の住宅地の上昇率上位50位までのうち、49か所が北海道(すべて札幌近郊)です。ボールパーク建設の影響でしょうか、北広島市が特に目立っています。
ちなみに、都道府県別の世帯年収で見ると北海道は全国の44位です。
注文住宅の価格上昇により既存住宅市場に流れる動きを指摘する声もあるとのことで、空き家対策に取り組む者のひとりとして、さらなる検討と必要に応じた意見・提言の必要性も感じてきました。
「許す」を考える
五木寛之さんのエッセイ集である『生きるヒント』、その第3巻の中に「許す」と題する章がありました。
ガンで亡くなった五木さんの友人は、「すばらしい秀才でした。意志もつよく、決断力もあり、ぼく(=五木さん)なんかよりはるかに几帳面な紳士でした。」その友人の几帳面さは、『どんなに家に帰るのがおそくなっても、必ず日記をつける』というものでした。そこに日々記していたことについて、『きみ(=五木さん)にも一日のうち一つぐらいは、許せないことって、あるだろう』と語ったとのこと。
「日記に書くといくぶん楽になる、と彼は言う。しかし、文章に書くという行為は、その許せない事柄を記憶の中に再現して、さらに文字に刻みつけることになりはしないか。」「毎日のように日記に<許せない!>相手の名前を書き、その出来事を記録する生きかた」には「無理があり」、「そんな無理をつづけていて、心身のバランスが保たれるわけは」ないことを五木さんは心配して、『そんなふうじゃ長生きできないぞ』と言ったこともありました。
結局その友人は「それまで一度も病気をしたことがないと聞いてきたのに、健診でガンが発見されて、半年もたたずに亡くなってしまった」そうです。
<許せない!>ことを文字に刻み付ける行為が心身に少なからず負担をかけていたのかもしれません。
すべてを許せなくても、上手に忘れるなどして、そうしたことを自分自身から解き放つことの必要性も考えさせられました。