取締役会決議で取締役を解任って…?
有名な牛丼屋さんの取締役が不適切な発言をしたとして解任された先日のニュースを見聞きして、「どうして取締役会で取締役の解任決議ができるのか?」と疑問に思われた方もいらっしゃることと思います。これは、元になる会社(親会社のホールディングス、以下HD)からのリリースの記載内容が原因となっているのかもしれません。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS08813/c398b238/20c1/4167/acb3/3d42110c0645/140120220419523847.pdf
ここでのポイントは、解任されたのは完全子会社の取締役で、HDは子会社の発行済株式のすべてを保有していることです。会社法第319条第1項は、「取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。」と規定しています。これを今回のケースに当てはめると、
株主⇒親会社であるHD
株主総会の目的である事項⇒(子会社の)取締役を解任すること
株主の全員⇒子会社の発行済株式のすべてを保有するHD
同意の意思表示⇒HDの取締役会における決議による
ということになり、株主総会の決議があったものとみなされて、取締役の解任手続が有効に行われたことになります。